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「そうか。しかし、こっちは急いでるんだ。邪魔をするなら切り捨てるが、いいな?」
後ろにいて、鈍感な私にもわかるくらいはっきりとした殺気。隊長と副長でどの程度実力に違いがあるのかわからないが、紅夜が本気であることは伝わる。
「……隊長を守るのが副長の役目。しかし、紅夜隊長がそこまで殺気を放つということは重要な案件なのでしょう。輝火が一緒にいながら、紅夜隊長自らですしね」
降参を意味するように両手を顔の辺りまであげる。
「その代わり、その用件僕も同席させてもらっても?」
問いに紅夜は黙って頷く。それを見た凍耶の表情はようやく安堵しているように見えた。このまま戦えば負けるのは明白だからだろう。
氷の国に来るまでに聞いた話では、隊長だけは国で一番強い者が就任する。副長やその下は隊長の推薦や実力だったり様々だが。現在の隊長の実力はほぼ互角であり、副長の凍耶が勝てる可能性はないに等しいようだ。
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