第3章 氷の国

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「そうか。しかし、こっちは急いでるんだ。邪魔をするなら切り捨てるが、いいな?」 後ろにいて、鈍感な私にもわかるくらいはっきりとした殺気。隊長と副長でどの程度実力に違いがあるのかわからないが、紅夜(こうや)が本気であることは伝わる。 「……隊長を守るのが副長の役目。しかし、紅夜(こうや)隊長がそこまで殺気を放つということは重要な案件なのでしょう。輝火(かがほ)が一緒にいながら、紅夜(こうや)隊長自らですしね」 降参を意味するように両手を顔の辺りまであげる。 「その代わり、その用件僕も同席させてもらっても?」 問いに紅夜(こうや)は黙って頷く。それを見た凍耶(とうや)の表情はようやく安堵しているように見えた。このまま戦えば負けるのは明白だからだろう。 氷の国に来るまでに聞いた話では、隊長だけは国で一番強い者が就任する。副長やその下は隊長の推薦や実力だったり様々だが。現在の隊長の実力はほぼ互角であり、副長の凍耶(とうや)が勝てる可能性はないに等しいようだ。
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