第3章 氷の国

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「相変わらずだな。なんの用だ?」 男性の威圧感のある目に後ろにいる輝火(かがほ)凍耶(とうや)も冷や汗を流していた。 「ちょっと確認したいことがあってな」 臆することもなく、紅夜(こうや)は私を見て答えている。 「その女性は?」 今回の用件が私だとわかったのだろう。氷の国隊長の蒼真(そうま)さんは私たちを部屋に迎え入れてくれた。 目覚めたときの部屋と同じく時代劇に出てきそうな部屋。広さはかなりあるのでこの人数が入っても圧迫感もない。 「こいつ、訪問者らしんだが。向こうでマルラビを見たらしくてな」 椅子に座らされていると、立ったままの紅夜(こうや)が用件を話し出す。 「なるほど。それならわたくしと同じ用件のようですね」 今までずっと黙っていた女性、土の国隊長の桃華(ももか)さんがゆったりと気品のある声で話し出す。 「土の国でも、現在魔物が暴れる被害が出ています。それも普段は大人しい魔物ばかりが」 その話に紅夜(こうや)の表情が険しくなる。
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