第3章 氷の国

7/17
前へ
/271ページ
次へ
「氷の国でも現在似たような報告が上がっている。マルラビは本来無害な魔物だ。なにか関係があると思ったほうがいいな」 蒼真(そうま)さんの冷たく鋭い目が私を硬直させる。言葉を発することを許されないように。 「どういうことだ? 火の国ではそんな報告は……」 「火の国でも同じような報告はありますよ。隊長は報告書に目を通さないので知らないとは思いますが」 紅夜(こうや)の言葉を遮るように輝火(かがほ)の呆れた言葉が飛ぶ。でも、これはなにも知らない私でも異常だとわかる。3つの国で同時期になんて自然現象とは、とても思えない。 「これが自然な現象とは思いにくい。誰かの意思が動いている」 魔物を自在に操ることが簡単なのかはわからない。でも、緊迫した空気からとてつもなく大きな力が動いていると予想できる。 「そんなことが出きるやつなんて限られてるぞ?」 紅夜(こうや)の言葉で更に空気が張り詰める。私もなぜか胸がざわめくのを感じていた。
/271ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加