第2章 最後の訪問者

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夏から秋へ季節が流れる頃、生涯忘れることの出来ないことが待っているとはこの時思いもしていなかった。 夜に喉が渇いた私はコンビニへ飲み物を買うため、外へ出ていた。長袖のシャツに短パンといったラフな格好で歩いていたが、秋が近付いているせいか少し肌寒く感じる。 いきなりだった。なんの前触れもなく私の目の前に不思議な生き物が現れたのだ。兎のような頭にまん丸な体。猫のようにも見えるその生物に私は釘付けになってしまう。 私に気づいたのか、その生き物はコロコロと転がりながら私の視界から消える。 しばらくはその路地裏を見つめていたが、やっぱり気になった私はゆっくりとその方向へ足を向ける。いや、危険な香りはしていたが興味に勝てなかった。 恐る恐るでなく、ウキウキと追いかけていたのだと思う。 路地裏に1つ、ポツンと佇む自販機の前に先程の生物を見つけた。きっと跳び跳ねたかっただろう。この時の私は興奮していてあまり覚えていないけれど。
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