第4章 交わる光

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ちょっと待って。私はまだ名前しか言っていないし、火の国で保護なんてまだ誰も言っていない。 「なんで輝火(かがほ)が発見者なことまで知っている?」 怒気から明らかな殺気へと紅夜(こうや)の纏う雰囲気が変わる。 「簡単ですよ。書状には紅夜(こうや)蒼真(そうま)桃華(ももか)の名が記されています。保護したのが火の国でないのなら紅夜(こうや)、あなたは動かない。そして怪しいのなら切り捨てるのがあなたです。でも香恋(かれん)さんは生きている。輝火(かがほ)が説得でもしたと考えるのが妥当だと思いますが?」 白羅(はくら)さんの言葉に紅夜(こうや)はなにも言い返せないでいた。正にその通りだからだろう。 「この世界では見かけない茶色い髪、服装。そして隊長が3人も動く存在。訪問者と簡単に予想出来ます。書状が届いたのはもう10日以上前、私が動くよりは待っていれば来ると思っていました。まさか紫吹(しぶき)まで一緒に来るとは思っていませんでしたけどね」 紅夜(こうや)の、他の隊長の性格を全部考慮したうえで動かなかったのだと主張する。更に私のことも見透かすように。
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