第5章 雷鳴

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入国に手間取ることをがっくりしている間にいつの間にか雷の国の門へとたどり着いていた。空が夕暮れになっていることから、かなりの時間が経っていたことを知る。なにもしないまま一日が終わろうとしていた。 「雷の国へ入国の許可を繋いでもらいたい」 蒼真(そうま)さんが門番と話しているが、許可が出るまで今回は何日かかるのだろうか。 紅夜(こうや)紫吹(しぶき)が野宿の準備をしているのを眺めながらそんなことを考えていたときだった。門が開き、ウニのようにツンツンした黄色い髪の男が姿を現す。 「お待ちしていました。我が隊長もお待ちです。ご案内します」 意外にもあっさりと入国出来るようだ。 「弧遥(こはる)か。副長のお前がなぜこんなところにいる?」 すんなりいきすぎなことを疑っているのか、殺気を飛ばしながら問う。 「光の国から戻った商人から聞きました。隊長達が各国を回っていることを。次にこの雷の国へ訪れることを」 なるほど。と納得してしまう。光の国にいた商人の何人かは入国を諦め帰ったのだった。
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