第5章 雷鳴

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「この前も言ったが、この世界に生きる全ての生物は属性を持つ。そして違う属性を体に取り込むことは毒となる。ここまでは理解してるな?」 前も聞いた説明だ。なので頷いて答える。 「人間の場合は5歳くらいから属性の力が大きくなると言われています。なので5歳を迎えるとそれぞれの属性の国で生活をしないといけなくなるのです。わたくしは土の属性でしたが、弟は風の属性でした。これは珍しいことではない話です」 どこか楽観視していたのかもしれない。あまりにも違う世界に不安が胸を締め付ける。海外にでも行ったような感覚だったけど、改めて違う世界なんだと思い知らされる。 「まぁなんだ。あまり気にする必要はない。俺達は慣れてる話だ」 紅夜(こうや)が珍しく暖かい言葉をくれる。それほど顔に出ていたのだろうか。それに今は兄弟の話だったけど、両親とも属性が違えば引き離される。私には考えられない話で理解が追い付きそうにない。
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