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紅夜がその赤髪の兵へたどり着くのとほぼ同時に黄流も到着する。どうやら火の国の兵が倒されているのを見て駆けつけたようだ。
「ここは俺に任せてくれないか? お前には兵を頼みたい」
普段はない紅夜の態度に黄流は一瞬戸惑うが、紅夜がそこまでする相手なのだと思いすぐに他の戦地へ駆け出していた。
「やはりあなたか」
大鎌を持つその赤髪の兵を正面に捉える。
「なんじゃ。紅夜も来ておったのか」
紅夜の肩くらいしかない身長、地面に届きそうなほど長い髪。自分の背の丈ほどの大きな鎌。どう見ても少女にしか見えないその兵へ、普段見せることのないほど丁寧な態度の紅夜。
「禍秦師匠、あなたが火の国を去って8年。まさかこのような場所で再開するとは思わなかつた」
この禍秦は紅夜の師であり、齢50歳を超える引退した兵である。かつて歴代最強とまで言われ、一度も隊長の座に就いたことはないが、役職が40歳で引退は彼女のせいで作られた決まりでもある。
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