第6章 隊長の戦い

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「神官より上? 神官が最高位のはずじゃ?」 紅夜(こうや)の言うように都を纏める者は神官と呼ばれる。その神官より上の存在など知るはずもなかった。 「妾はもう行く。気が向いたら妾を訪れるがよい」 結局戦うことも、連れて行くこともせずに立ち去ろうとする禍秦(かしん)。 「そうじゃ紅夜(こうや)よ、目に見えることが真実ではない。本当の敵を見誤るでないぞ?」 意味深な言葉を残し、今はもうその姿は見えない。 「本当の敵?」 禍秦(かしん)に言われた言葉を深く刻みこむ。意味は今の段階ではわかりようがなかったが。 禍秦(かしん)が戦地から去ったことで残る兵も戦う気力が残っておらず、降伏する形となる。ただ一人、今も足掻く翡翠(ひすい)を残して。その翡翠(ひすい)白羅(はくら)が対峙しており、時間の問題のように見える。 その証拠に黄流(きりゅう)紅夜(こうや)が残存部隊の確認をしていると、翡翠(ひすい)の首を持った白羅(はくら)が現れる。 「ここの戦いは終わりました。本陣へ向かいましょう」 死者火の国3名、負傷者、火の国48名。雷の国、22名、光の国損害なし。でこの戦いの幕は閉じる。
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