第6章 隊長の戦い

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蒼真(そうま)は本格的に戦うことはせず、少し攻撃しては退避を繰り返す。敵の兵も気付かないほど緩やかに砦から遠ざけるように。指揮官が気付いた頃にはもう遅く、砦の門は無防備になっていた。 「これが狙いだったのか?」 門には紫吹(しぶき)の部隊が展開し、指揮官の部隊は挟み撃ちにされていた。 「気付くのが少しばかり遅い。兵の数で差があるのなら分断させるのは基本。何度もそう教えたはずだが。瑛菜(えいな)蒼真(そうま)の言葉に顔を真っ赤にする青髪の女兵士。 「あんたのそういうところが大嫌いなんだ。人を常に見下して」 「元氷の国組長が自国の任務中に、引き連れた兵士を全滅させ、更に姿を消す。そんな行為をしてどの口が言う?」 刀を瑛菜(えいな)に向けて殺気を強める。それだけで周りの兵士は味方も含めて足がすくむ。 「後ろからの攻撃だが、油断はするなよ!」 待ちくたびれたのか、紫吹(しぶき)が先に動く。後方からの総攻撃で。先頭で戦う紫吹(しぶき)に恐れをなす者が絶えない。
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