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隊長に挟まれ一気に劣勢へと追い込まれる。更に紫吹の部隊は砦を守るように戦う。それにより蒼真の部隊と乱戦状態へとなる。
「怯むな。目の前の敵にだけ集中しろ」
乱戦になっているため、援護が望めない。下手に援護すると味方ごと攻撃してしまうからだ。
「頃合いだな」
紫吹は砦の横にある崖へ目配せする。もちろんそこに控えるは桃華の部隊。手には刀や槍ではなく弓を持っている。
「さぁ構うことはない。撃て桃華」
小さく呟く蒼真の願いとは裏腹に桃華の部隊はなかなか弓を放てない。元々数で劣っているため、桃華がもたつく間に氷の国の部隊はどんどん倒されていく。蒼真や紫吹が慌てて援護するが到底間に合わない。
「桃華! なにしてやがる!」
紫吹の怒号が飛ぶ。目の前で味方の兵が倒れていくのだから当然だろう。
「紫吹、このまま押しきる。そちらから討て」
桃華をあてにしない言葉に一瞬戸惑うが、状況を考えれば当然なため紫吹はすぐに切り替える。
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