第6章 隊長の戦い

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「どういうつもりだ?」 当然のように蒼真(そうま)の怒りの言葉が飛ぶ。想定していた以上の兵士を失った。怒りは当然だろう。 「わたくしは」 「桃華(ももか)に八つ当たりか? 元々はお前の作戦が穴だらけなのが悪いんだろ?」 桃華(ももか)の代わりに答えた紫吹(しぶき)の挑発に我慢は限界を迎える。 「俺の作戦が穴だらけだと?」 「お前の作戦に、桃華(ももか)の性格は考慮されていたのか? されていたのなら、あそこで桃華(ももか)が躊躇することも考慮するべきだ」 何も言えなくなる。言う通りだったからだ。桃華(ももか)の性格も紫吹(しぶき)の性格も考えることなく作戦を組み立てた。それを責めるのは間違いだと言われているのだ。 その後は会話もなく本陣へと蒼真達も向かう。 戦死者、氷の国32名、風の国18名。負傷者、土の国5名。 かかった時間も白羅(はくら)達とほぼ変わらずに砦の制圧に成功する。ただ違うのは敵のほとんどが戦死していることだろう。 白羅(はくら)が取った作戦は制圧。蒼真(そうま)が取った作戦は殲滅。お互いの被害もそれを物語っている。
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