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汚されていく自分を見るのが好きだった。
安いホテルの毒々しい赤い壁に両手をついて、かたく目を閉じて果てる瞬間、僕は少しだけ震える。
振り向いて確認なんかしなくても、男の顔が優越感に浸っているのが手に取るようにわかる。そしてその時、僕は思うのだ。
お前の優越感なんてクソだ。
この上質な快楽は、僕の美しさの上にだけ成り立つ唯一無二。真に優位なのは、僕なのだ。そして僕は、汚されていくことをゲームでも攻略するかのように愉しんでいる。
だって、どんなに汚されても、僕の美しさに変わりはないのだから。
自分を切り売りすることに罪悪感などない。需要があるから供給してやる、それだけのことだ。
もう二度と、僕は、絶対に支配などされない。
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