ないものねだり

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昔からずっと欲しいものがあった それが手に入らないことは、とうの昔に分かっていたけれどそれを欲せずにはいられなかった 休日に挟まれた金曜など生徒だけでなく先生も行きたくなかったのであろう。 いっそのこと今日も休みにしてほしかったと言わんばかりの適当な授業を終え家に帰ると既に家には人の気配があった。 「帰ってくるの早かったな…お帰り。」 「颯くんお邪魔してます。」 無愛想な兄の横でにこやかに挨拶をしてくれる兄の幼馴染みであり親友の奏多くんを横目で見ながら俺は小さく会釈した。 奏多くんは気づくと当たり前のように家にいていつしか家族同然となっていた その柔らかい笑みと穏やかな声は小さい頃から何一つ変化ない。 そんな彼のことが兄は好きで物心のついた頃には既に兄は奏多くんに心奪われていた。 はじめの頃こそまるで自分のものかのように奏多くんを自慢げに俺に見せびらかせていた兄だが次第に俺がいると二人の時間が減ることに気づいたのだろう…俺から隠すように奏多くんと二人きりで会うようになっていった。はたして理由がそれだけかは怪しいが…。
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