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空が白み始めた頃。
ようやく、皆の手が止まる。
広い城内は、どこもかしこもクリスマスムード満点な飾りつけが施されている。
夜は夜で楽しめるよう、庭には電飾も施した。
大広間のテーブルの上には沢山の御馳走と、中央には大きなケーキが並べてある。
ツリーの下には勿論、下僕達からのプレゼント。
「王様も、驚くだろう」
「ああ。今日はクリスマス。ご両親のいない王様にとって、淋しいものでしかなかったクリスマスも、我々と一緒なら……」
「きっと喜んでくれる」
徹夜明けとは思えないほど、爽やかな顔を見せる彼らは、そこで異変に気が付く。
「あれ?」
「でも、あんなに騒いでいたのに……王様、起きて来ないな?」
「いつもだったら、深夜にゴソゴソするだけで、『うるさぁぁぁい! さっさと寝ろっ! 今すぐ寝ろっ! むしろ、もう一度、墓穴にツッコむぞ!』と言って怒るのに」
「「「あぁっ!」」」
全員の声がハモる。
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