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そんな彼の様子に驚くことなく、手際よく何やら準備を始める下僕達。
警護主任がクローゼットの中から大きなネジマキを取り出す。
布団がはがされ、上着を脱がされた王様の露わになった背中には、四角い線が浮かび上がっていた。
「開けるよ」
ゴクリと生唾を飲み込む音と同時に、その線の中に先の尖った道具を突き刺すと、カパリッと王様の背中の皮膚……いいや、『表面』の一部が取り外された。
その中から現れたのは、主任が持つネジマキがピッタリとはめ込める穴。
ゆっくりと慎重にネジマキを穴に合わせる。
「みんな、力をかしてくだされっ!」
「ええ」
「ああ。勿論」
王様はロボット。
定期的にゼンマイを巻かないと止まってしまう。
けれど、このゼンマイが物凄く重くて固い。
一人の力では決して巻けないのだ。
けれど、一人、二人、三人……下僕達みんなの力を振り絞って、ようやく、ギギギギッという音を立ててネジマキが回り出した。
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