下僕達の夜

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「うぬぬぬう」 「くぅ~」 「まわれぇぇぇ」  爪が剥がれようと、歯を食いしばったせいで、ボロボロと歯が落ちようと、腕があらぬ方向に曲がろうと。  皆、必死になってゼンマイを回す。  常日頃、顔色が悪く、血の気のない彼らの顔が、真っ赤になるほど、真剣に力を入れている。  ゆっくり、ゆっくり動くネジ。  息が上がり、圧迫されて蛆虫が腹の中から這い上がり、口から飛び出すほど腹筋に力を入れる彼ら。  どれくらい経ったであろうか?  ようやくゼンマイが最後まで巻けた時、皆、一気に脱力し、その場に崩れ落ちた。 「ひぃ~。何度やっても、この仕事が一番キツイ」 「ふぅ~。でも、こうやって床でくたばっていたら、王様にドヤされる」 「そうよねぇ……さっさと持ち場につかないと……」  疲労困憊な彼らは、休みたい気持ちを我慢して、ゆっくりと立ち上がり、ヨロヨロと扉へと向かう。
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