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「お前ら。仕事をサボって……って、何でワタシは裸なのじゃっ! おのれ。下僕共よ。誰もが羨むワタシの美貌に血迷うたかっ!」
背後で怒声が上がる。
恐る恐る振り返ると、口調とは裏腹に、ニンマリとした笑みを浮かべている王様の姿。
「お主ら。覚悟しろよ?」
「ひ、ひぃぃぃっ」
「これにはワケがぁぁぁっ」
王様が剣を手にすると、たちまち怯える下僕達。
いくらゾンビになったとはいえ、打ち首の刑は痛いことは痛い。
何度でもくっつけられるからいいとかそういう問題ではない。
「問答無用じゃ!」
「助けてぇぇ」
「王様がご乱心よぉぉぉ」
一目散に逃げ出す彼らの背中を追う王様の表情は嬉々としていた。
王様が彼らを追い込む先にあるのは、彼らが永遠の眠りについた筈の墓地。
そこには一本の大きなモミの木がある。
実は、下僕達が王様のことを考えてプレゼントを用意していたように、王様も彼らにプレゼントを用意していたのだ。
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