下僕達の夜

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「そ、そういうお主こそ、気分屋の王様に『今、ステーキが食べたいのじゃ』と言われて、ステーキを持って行けば『今は、鴨のコンフィの気分なのじゃ』と言われ。鴨のコンフィを持って行けば『今は手打ちの十割蕎麦が食べたいのぉ』と言われ、結局、王様は何も食べられなかったというではないか。仕事というものを何と心得ておるのだ?」 「それでも言われたモノを時間がかかっても全て作り上げた料理人としての腕は褒めてもらったぞ?」 「うぬぅ……」 「フンゴフンゴフンゴフンゴッ……」  リビングというよりも、食堂といった雰囲気の部屋は、この城で働いている使用人たちの休憩室。  それぞれ個室が与えられているというのに、仕事が終わると必ずこの部屋に集まるのが彼らの日課。
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