下僕達の夜

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 彼らが仕える王様は、かなりの暴君であろうことが伺える。  少しの失敗でも許さず、まだ若いメイドに対して酷い折檻をしたようだ。 「ったく。いつもいつも、そそっかしいだけじゃなく、一言多いんだから。余計な事を言ったお前が悪い。そんなことより、俺なんてなぁ……」  うつ伏せになっていた男が顔を上げる。  彼の顔には大きな傷がついており、手足には包帯が巻かれていた。  かなりの大怪我を負っているのにも関わらず、彼は働かされているらしい。  不服そうな顔をした彼の吐く息は――――――何故か薔薇の香り。 「風呂場の掃除を終えて「入浴の準備が整いました~」と王様を呼びにいったら、『お前、息臭い』って言われてさぁ。香水ひと瓶一気飲みさせられたんだぞ?」  その場にいるもの全員、その一言を耳にした途端、慌てて自分の口に手を当てて、口臭チェックをしだしたかと思えば、腕や脇の臭いを嗅いで、体臭チェックまで念入りにしだす。 「お、おい。お前。シシュウやばくね?」 「え? うわぁ……これでは明日にでも打ち首ゴメンですぞ!」 「首を斬られるぐらいじゃ、ボクらはどうにもなんなくね?」 「でも、首が外れやすくなるのも如何なものかと……」 「だったら今のうちに香水浴びておけよっ」 「いや、香水まみれなのも、臭いが強すぎてお怒りになられるんじゃないか?」  騒めきだす使用人たち。
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