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彼らが慌てだすのも無理はない。
彼らは皆、王様――――王様によって永遠の命を与えられたゾンビたちなのだから。
死臭も腐敗臭も常日頃から気にかけていないと、王様のご機嫌を損ねてしまう。
腐った肉片を落とそうものなら大変なことになってしまうだろう。
男性陣はメントールの効いた汗ふきシートで体を拭きながらぼやきだす。
「まぁーったく。やっぱり美味しい話には裏があるって本当なんだよなぁ」
「確かに確かに。オレっちも、あの貼り紙を見て、この城に応募したんだ」
「吾輩は、国家の繁栄を願って、この城で働くことを志願したのですぞ」
「あー。きれいごとはいいからいいから。どうせ、お前はアレだろ? 『警備募集。一日の警護を終えた後には、過激なマッサージが待っています』の一文に惹かれただけだろ?」
「ピンク系のマッサージを想像していたんだろ? 男なんてそんなもんだ」
それぞれが、この城で働くキッカケとなった貼り紙の件が『運のツキ』だったかのように話す中、一人だけいい子ぶった発言をする者に対し、皆が突っかかる。
「む、うぐぐぐぐ。そ、そんなことはありませぬぞ! 王様を守るのは吾輩の使命であってですな……」
どうやら図星のようだ。
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