1/1
前へ
/13ページ
次へ

 「ねぇ、ちょっとちょっと」  図書館で本を読んでいると、花形くんが話しかけてきた。僕はイアホンをしている。それでも、耳に通ってくるということは、かなり大声!僕はぱっと顔をあげ、周りを見回した。図書館にいるたくさんの人がこっちを見ていた。びっくりした人とひきつった人そして、一番やっかいな注意する人が近づいてくる。僕は慌てて本と鞄を持ち花形くんを引っ張って図書館からでた。そして、近くのベンチに座った。  「ごめんね、急に声かけたりして」  と、彼は弱々しく謝ってきた。  「別に怒ってはいないけど図書館での大声はご法度だ」  「え?なんて?聞こえない」  ぶざけてるのか、いや花形くんはそんな悪ふざけするタイプでは…よくみると花形くんの両耳からから細い線が垂れ下がっていた。こいつっと僕はその線を一気に引き抜いた。  「痛ったい」  花形くんは耳を手で覆い僕をみた。そして、  「なるほどイアホンをしていたから聞こえが悪かったのか。通りで僕好みの曲がずっと流れてたわけだ。」  なぜ、そんな低い声で渋い顔なんだ。と、いうかマジでイアホンつけてるの忘れてたのか!それで、あの大声か!僕はなんか身震いした。  「これからは気をつけてね」  「わかった」  花形くんは素直だな。とイラっとしてもすぐに許せてしまう。  「ところで僕に何の用かな?」  「あ、そっか。あのね、実はね。相談ごとがあって…」  僕は額に冷や汗を感じた。あの花形くんに悩み後が…の前に僕は相談されるのが大の苦手分野。彼を突き放してしまうこと間違いなし。  「そ、そうなんだ。なんだい?」  動揺している。声が変になる。  「あのね、僕好きな子できたんじゃないかな?どう思う?」  知らない…と、言う言葉が僕の頭に駆け巡った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加