喋りだすメガネ

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 「しっかし、誰だよオレをこんな目に遭わせたの。許せねぇな。」  メガネは鏡の前で自分の姿をしみじみと眺めて呟いた。  ―― こりゃヒデェ、マジひでぇ、とことんヒデェ ――  元々がもっさりした黒縁メガネであるが、リムが歪んでレンズ割れてるわ、ブリッジが歪んでどんな橋だよ状態になってるわ、鼻パッドは行方不明だわ、フロントがっつり斜めだわ、で、とんでもないことになっていた。 ―― 両端にヨロイがついてても意味ねー。弱いよ、オレ、最弱じゃーん ――  「とんでもなくガッカリだな。」 ――  もっさりした黒縁メガネで生を受け、終わりがこれじゃ、とことん情けない ――  「コレはアレだ。復讐するヤツだ、うん。」 ―― このまま終われっかよっ ――  「がんばれー、オレー。」 メガネは鏡に向かって気合を入れた。
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