喋りだすメガネ

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「とはいえ、どっから手ぇつけっかなぁ…。」 メガネはぷかぷかと宙に浮きながら悩んだ。 メガネをかけていた男は、とにかく地味だった。 そんな男が、犯罪がらみで殺されるとは思えない。 「やっぱ、うっかり事故かなぁ…。」 メガネはこうなった瞬間を思い出そうと試みた。だが、メガネには記憶を保存する脳はない。パソコンのように記録する術もない。 「今時、家電だってちょっとした装置ついてんのに、なんでメガネにはないんだ。あんな脳みそに近い場所に使うのに。」 ブツブツ言ったところで、過ぎ去った過去の記録を今更とれるわけがない。 「ちっ、しょーがねぇーなぁ。とりあえず、いつも通りに生活してみっか。」 メガネは自分でできるところから手を付けることに決めた。
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