喋りだすメガネ

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「私たちのカンケイがあるからというわけではないけど、今日は休んだほうが良いと思うの。」 ――― いや、私たちのカンケイとやらをもっと詳しく…。メガネはベッドサイドにおいてけぼりの運命だから知らないってこと?どうなってんだ ―――― 「お父様はカンカンになっているから、聞く耳持たずな状態よ。」 ――― お父様って、社長ですか。あの人ですか。日ごろ怖いながらも温厚な方が、温厚の仮面をかなぐり捨ててる状態ですか。それはヤバい ―――――  美人とメガネが廊下の片隅で、ざわつく室内を伺っていると、後ろから声がかかった。 「おいっ、聞いたか?鈴木死んだってよ。」 ――― 今、それ言う?言っちゃう? ほら、目の前の美人さんの顔色がどんどん悪くなっていくじゃないですか ―――― 「使い込みバレて自殺したらしい…って、アレ、鈴木?」  声の響きに違和感を感じて、メガネはゆっくり振り返った。 ――― こいつだ!――――  メガネの目の前に、メガネを無残な姿にした男の姿があった。 「えっ、なんでここに鈴木がいんの?えっ?アレ?」 ――― アレ?じゃねーよっ。てめぇ、美人さんと付き合いだしたもっさりメガネに嫉妬したんだな。それでオレを巻き添えにして、もっさりメガネを殺ったなっ ―――― 「鈴木くんが…自殺? なら、ここにいる鈴木くんはどこの鈴木くんなの?」 ――― いや、ここにいるのは鈴木くんじゃないから。彼のメガネだから。付き合ってんのにメガネだけで鈴木くん認識ってどうなのよ ――――  混乱しているメガネの前で、混乱している美人に殺人犯同僚が手を伸ばそうとしたが、メガネは間に割って入って殺人犯同僚を近付けない様にした。 「なんでお前はいつもそうなんだよ。美味しいトコをもっていきやがって。」 ――― いや、殺されている時点で、ちっとも美味しくないから ―――― 「そんなだから、僕が動かなきゃいけなくなるんだろ。」 ――― いや、動き方が間違っているから。 言い訳、できないから。 でもなー、オレってばメガネだから。コイツに殺されたって証明できねーし ――― 「僕が殺したはずなのに、なんでここにいるんだっ。」 ――― すげぇ、きっぱり自白したぞ、コイツ ――――
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