招かれざる者

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穏やかな日差しが降り注ぐ緑豊かな森の中、2つの影が草むらを高速で移動していく。 先頭の影は草むらを抜けると目の前に広がる美しい湖の前で止まった。 「ミツキテメェコラァァ!!捕まえたぞ!!」 もう一つの影が草むらから出てくると大声で叫ぶ。その叫ぶ人物を見てミツキと呼ばれた少年はふふふと笑う。笑うのに合わせて肩まで伸びた茶色の髪が揺れていた。 細身だが、筋肉はついているのだろう片手には何かが入った大きな袋を持っており、腰にはシミターが一振り装備されている。 ブーツの足元は泥で汚れているが、汚れているのはその部分だけで草むらを走ってきたというのに黒のTシャツやズボンには汚れた様子など無い。 「テンヤ…そんなに獲物を取られたのが悔しいのかよ。」 半ば呆れたように笑う姿にテンヤと呼ばれた彼はムッとする。 まだ、少年の面影が残るテンヤだが、筋肉質な身体に腰回りにはナイフ、履き慣れヨレヨレになった黒いブーツやジャケットを纏った姿は歴戦の狩人の様だ。 短髪で鋭く鷹のように黄色に光る瞳もそれを引き立てる要素かも知れない。 「ったりめーだ!久しぶりの兎さんなんだぞコラァァ!!」 「ブフォオホァ!お前止めろ!その図体で兎さんは止めろって!」
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