1話 突然の別れ

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ここは暗黒の闇・・・ 僕はただひとり 宇宙を漂う孤高の旅人 「英夫!起きなさい!」 暗黒怪獣ニニョニニョ出現 口を閉じたまま、舌先で歯をニニョニニョしている 戦闘能力0、マジックポイント0 そして再び僕は暗黒の闇へと ベシッ! 「二度寝しない!」 ニニョニニョの戦闘能力が1万に跳ね上がった 「おばあちゃんが呼んでるよ、お手伝いしたらお小遣いあげるって」 マジックポイント10 「ばあちゃんおはよ」 「英夫、風邪治ったかい」 「うん、明日は学校に行ける」 僕のおでこに当てた、ばあちゃんの手は柔らかい うんうんと頷いている 「おいで」 香水の香りがした ばあちゃんは素敵に生きている 今も、じいちゃんが大好きで 僕を部屋に呼んではじいちゃんとの思い出話を聞かせてくれる 僕は、うんうんと頷くだけ 黄色いワンピースやドレスや青いリボンや仕立ての良いコートや鞄 ミントグリーンのドレスや黄色いニットのドレスや真紅のコートや雨具を仕分けした 「古いのは処分するからこっち、綺麗なのはお母さんにあげるからこっちにね」 「はーい」 「これは、バラバラにしといて」 ばあちゃんに言われるままに古い鏡台を解体していると 「英夫、見てごらん綺麗だろ」 アンティックな細工のコンパクトを開くとまあるい鏡に映る僕 かつては、ここに娘の頃のばあちゃんが映っていたんだね 「昔、もらったのよ」 「おじいちゃんに?」 「ふふふ」 「ひまわりが咲いていた頃にね・・・あげる」 「ばあちゃん、これ、女の子のだろ」 「ひまわりの側で見かけたの、とても素敵だった」 「じいちゃん?」 「ふふふ」 笑うと三日月みたいなお目目と頬っぺたに、えくぼが二つ 仕草が可愛いばあちゃんは 整理のお手伝いのご褒美にと、コンパクトを差し出した
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