1 篠原理沙編 第一話 知っている

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頻りにまだチャンスはあるし役に着くだけが演劇を作ることではないと説得のような事をしていた。 相馬は別に役がもらえないからとか、そういう問題ではないと答えた。 単に私生活が忙しくて部活に参加できないと説明したが、肝心の私生活の内容までは話さなかった。 二人の会話はそれ以上の内容にはならなかった。 先輩は腑に落ちない様子だったが、相馬が演劇部に参加できない理由を篠原は知っていた。 一年ほど前にこの学校から転校していった宇佐美美羽と言う子が、最近「とらうまうさぎ」という名のアイドルとして活動していた。 名前は宇佐美魅羽で漢字が違うのだが、まさに一年前に転校した宇佐美美羽本人なのである。
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