白帽子の魔女

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「新入生、入場」 荘厳な曲に合わせ、初々しい身振りで少年少女達が入場してくる。 新入生が入場し終えて全員が四方に一礼して着席すると、吹奏楽による歓迎の演奏が始まる。 新入生の一人――亜麻色の髪を後ろでひとつに束ねた女子生徒が、隣の席の、白銀の髪を肩口で切り揃えた女子生徒に顔を寄せて、小声で言う。 「さすが、すごいわね。特待生の私たちは肩身が狭いわねぇ…。ねえ、歩夢、聞いてる?」 「え?」 歩夢と呼ばれた女子生徒は、あんぐりと口をあけた表情のまま隣に顔を向ける。 「もう、歩夢。雰囲気にのまれたら終わりよ。少女漫画でよくあるじゃない。異分子はいじめにあうっていう」 「はあ…」 「はあじゃないわよ。私は成金の令嬢だからまだいいとして、あなたは…」 言いかけて、女子生徒は言い淀んだ。 「まあ、何とかなるって。麗子が味方なら百人力、でしょ?」 歩夢はそう言って、隣の席の女子生徒――南波麗子(なんばれいこ)にウインクをして前方に視線をもどし、キラキラと目を輝かせて、歓迎の演目に見入る。
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