白帽子の魔女

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麗子は、占いに秀でており、歩夢は、試験の度に世話になっていた。 出題する問題を占ってもらうわけではなく、良い結果がでるか否かを占ってもらって、それを精神的な強みにして良い結果を得る、というものだった。 占いによって出題される問題を知っているのかはわからないが、麗子の成績は歩夢と同じか、少し高いくらいだった。 二人はお互いを高めあう仲であり、小学校からの縁だった。 真とは物心ついたころからの腐れ縁であり、歩夢と麗子と真の三人は、よく一緒に遊んだものだった。 しかし、いつからか真とは疎遠になる。 そうだ、麗子に占ってもらえばいい。 歩夢はそう思ったが、すぐにやめにした。 そんなことをしたら、自分自身が己を許せないだろう。 そういう力は、使われるべき時に使われるから、使用者も恩恵を受ける側も清くいられるのだ。 それに、自分は魔女だとされているんだから、その力を引き出すことを考えるべきだ。 ズルをしようとすれば、本当に悪しく卑しい魔女になってしまう。 清く正しい魔女もいるのだと証明することは、真達三人の運命をもよい流れに導けるのではないか、と歩夢は考えた。 真たち三家の子息は、魔女や自身をふくめた魔力を扱う者についての知識や、魔力の御し方を叩き込まれているのだろう。 歩夢のような慌てるそぶりは見せない。 しかし、秘密の図書室をみつけるという課題においては、三人も手探りのようだ。 だったら、女の勘というものを最大限に生かしたらどうか。 歩夢はそう思って瞑想に入る。 歩夢は、集中力にかけては他の追随をゆるさないほどずば抜けて秀でていた。 集中力を発揮した歩夢は、真でも舌を巻くほどの切れ者になるのだった。 その様子を見ていた真が、照と静流にめくばせをして歩夢を見守るようにうながした。
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