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「あ…!」
歩夢が思わず声をあげた。
三人の中に、幼なじみの火剣真(ひつるぎしん)の姿を見つけたのだ。
真は、歩夢の視線に気づかないというふうにつんとした表情をしている。
あとでお仕置きだな、と思いながら、歩夢は口をとがらせる。
「三家、名乗りを」
司会の教師がそう言って三人をみやる。
すると、一番背の高い眼鏡の少年が、一歩前に出て名乗りをあげる。
「三年一組、緋玉静流(ひぎょくしずる)」
そう声を張って言うと、静流はもとの位置に身をひく。
次は、真が名乗りをあげた。
「一年一組、火剣真」
そして、次の男子生徒。
「一年一組、日鏡照(ひかがみしょう)」
照が名乗りをあげたあと、三家の三人が横一列に並ぶと、館内が大きくざわめく。
歩夢はますますわけがわからなくなって、校長たちを見遣ったあと、麗子に助け舟をもとめて困惑した視線をむける。
麗子も困惑しているようだったが、大丈夫だから、とジェスチャーで伝えてきてくれた。
しかしその日、歩夢が麗子のもとに戻ることはかなわなかった。
入学式後、歩と三家の子息は、校長や教員たちの案内で、ある教室に連れて来られた。
そこに用意された四つの机に歩夢達が座すと、校長が言った。
「“魔女が現れた時、三家は名乗りをあげなくてはならない”。“魔女と三家の子息は、公私にわたりできうる限り共に行動すること”。その規範にしたがってあなた方をここへ案内しました。この教室は、上層の一部の教員とあなた方にしかたどりつけない場所にあります。つまり、それができたあなた方は、図らずもそれを証明した、ということです。魔女と三家の子息には、四人そろって受けなければならない特別授業があります。これから、担任の教師を連れて来ますから、待っていてください」
そう言って額に汗して一礼してから、校長はそそくさと教室を出ていった。
教員たちもそれにならう。
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