白帽子の魔女

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「つれないなあ。まあ、いいや。では、本題。魔女と三家が受ける特別な授業があってね。もちろん、一般教養も身につけてもらわなければならないから、特別授業は、通常の授業を終えた、普通なら放課後の時間に行うことになる。まあ、部活動をするとでも考えてくれ。で、その内容だが、この場所に集まった時は、詩や俳句、短歌の詠唱を行う。それらには、呪文が隠されているんだ。風をおこしたり自然現象に近い魔法を学びたいなら東洋の文章を、金を生み出したり科学にも通じる魔法を学びたいなら西洋の文章を学ぶといい。で、教材だが、それは、自分たちで探してきてくれ。そして、基礎を学びながら、同時平行で、自分たちだけの“物語”を創ってもらう。魔法に関わる問題を解決してそれを物語にするもよし、過去の出来事から魔法が関わっていたとされる事件等をまとめるのもよし。かなりの時間をさかなければいけないだろう。でも、ここでの授業や自主学習は、成績には関係ないから、さぼってくれてもいっこうにかまわない。ただ、これだけは言っておくよ。魔女調べがなぜあるのか。それがなぜ女子だけなのか。女性は感情の生き物というくらいだからね、男と違って魔力の制御が難しいとされ、暴走を起こす可能性があるからなんだ。で、三家も実は魔力を秘めている。その使い方をよく知ることは、自身や魔女を制するのにとても重要になってくる」 そうして石川は真顔になって四人をみやる。 歩夢はぽかんと口をあけることしかできなかった。 暴走――。 一体、どうなることを言うのだろうか。 「まあ、暗い話はこれくらいにして。呪文を見つける方法でも教えるよ。たとえば、原本を見れば、“しるし”のつけられた文言を集めると呪文になっている、とかね。でもまずは、本がある場所を見つけてもらわなくちゃ始まらない。この学校にはね、魔力を持つものにしか入れない秘密の図書室があるんだ。そこには、過去の魔女が記した“物語”もおさめられている。参考にするといい。自己紹介のとおり、僕は魔導師じゃないから、場所を教えることはできない。授業は君達だよりってことだ。手抜きではないぞ」 そう言って石川はわざとらしく眉間にシワをよせてみせた後、ではな、と言って椅子に座って眠りこけはじめた。
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