白帽子の魔女

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「いいかげんな人ねえ」 歩夢があきれて言う。 「そうじゃない。疲れて眠ったんだ」 真がつっけんどんにいう。 「それがふざけているって言ってるの!」 歩夢はそう言って眉間にしわをよせてほほをふくらませる。 「今まで話していたのは、石川先生自身じゃない。誰かが先生を操ってしゃべらせていたんだ。それで疲弊して眠りに落ちた」 静流がそう説明を加えた。 「え?そうなの?」 「お前、それでも本当に魔女なのか?」 真がそう言って、信じられないという顔をする。 「魔女、魔女って。私はそんなんじゃない。普通の女の子よ」 そう言って涙ぐむ歩夢を見て、わずかに悪いことをしたという顔をした真だったが、自分の立ち位置を知らぬまま、自己を認めぬままでは、余計に歩夢が困るだけだ、と思い直して押し黙った。 「まず、石川先生を操っていた人物を探そう。あからさまに存在をアピールしていたから、探し出すのはそんなに難しいことじゃない」 そう言って静流は石川先生の頭部に手を触れながら眼を閉じ、何かを探りはじめる。 そして、しばらくそうしたあと、歩夢らの方を見て言った。 「念の糸は切れてしまっているが、残留している念と似たような気を北校舎一階あたりから感じる。行ってみよう」
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