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そこは、保健室だった。
四人が立ち入ると、そこには保健医・北見華子(きたみはなこ)が待ちかまえていた。
「ヒントを垂れ流していたとは言え、なかなか早い到着ね」
そう言って華子はふうと笑んで言葉を続ける。
「何者だ、って顔ね。それはゆくゆく話してあげる。まずは、第一段階クリアおめでとう。これで次のステップに進めるわね。まあ、そこのお嬢さんのために特別にヒントをあげましょうか。“木を隠すなら森の中”、よ。簡単でしょ?さあ、探しに行ってらっしゃい」
「木を隠すなら森の中…?」
歩夢がそうぶつぶつと繰り返しながら真達男子三人につき従う。
「普通の女の子なんだって言って泣いてたやつはどこに行ったんだか」
真がそんな憎まれ口をたたくと、歩夢は得意の口先をとがらせた顔で彼をにらみつけて言った。
「仕方ないじゃない。泣いてばかりいたって状況は変わらないなら、受け入れなくちゃ」
「何にも知らないやつが言う言葉か?」
真はそう言ってあきれ顔をしたが、彼がわずかに安堵していることを歩夢は敏感に感じとり、幼なじみって色々と面倒ね、と思って複雑な表情をした。
それを悟られないよう歩夢は顔をふせて、先導する静流に従った。
「“木を隠すなら森の中”…。図書室は校舎の中ってこと?」
「それならヒント出す意味ねえだろ」
歩夢の言葉に、間髪入れず真は突っ込みを入れる。
歩夢はむすっとして静流に助けをもとめる。
「まずは図書室に行ってみよう。そこにも原本はあるだろうし、そこに隠された呪文が秘密の図書室へのヒントになるかもしれない」
静流はそう言って歩夢たち三人をみやる。
「そうですよね」
歩夢はそう言って得意げに真をみやる。
図書室につくと、四人は手分けして原本の解読にかかる。
放課後となっていた一般の生徒たちは、そんな四人を見て何やらひそひそと話をしている。
この状況がこれからずっと続くのか、と歩夢はげんなりしたが、麗子がいれば何とかなるだろう、とすぐに楽観した。
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