第2章 会いたくなかった偶然

11/11
114人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
目の前の笑顔は、あの合コンで目の前に座っていたスマイル大型犬。 そして、 「ようやく、分かりました?」 そう言うと、私の手をそっと取り、その上に差し出していた小箱を ポンと置いた。 「はい。今度は、僕が助ける番です」 しかし、彼の言葉の意味は、まったく分からない。 それでも彼は、私の手にそれを握らせると、 「じゃあ」 満足そうに更に大きく笑顔を広げて、その場から去って行く。 しかし、私の頭も感覚も、現状にきちんと反応できるほど 現実に戻りきってはいなかった。 お蔭で私は、言葉らしい言葉も発せないまま 小さくなっていく彼の背中を、ただぼんやりと見つめ続けていた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!