114人が本棚に入れています
本棚に追加
だからこの週末は、まさに「悪夢」。
とにかく私は、虚ろな心を抱えて、なんとか自宅マンションまで戻ってきた。
だが、自分の部屋にも関わらず、私は自分の居場所すら見付けられない。
そしてその中、流れる時を追うように、
気持ちは、目にした事を幻にしようと現実から遠ざかろうとする。
しかしそれを取り消すように、友之からの連絡が
幾度となく、携帯電話を震わせる。
もう、振り子のように振り回される心が痛くて、
頭が、どうにかなりそうだった。
そして、とうとう私は、携帯電話の電源を落とした。
お蔭でほんの少し心の片隅が安らぎ、体から細く力が抜けていく。
そんなわずかな余裕が、私の目に、あの淡いオレンジの小箱を捉えさせた。
これ……。
私の震える手が、ゆっくりと小箱に伸びた。
最初のコメントを投稿しよう!