第3章  呼び込まれた再会

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だからこの週末は、まさに「悪夢」。 とにかく私は、虚ろな心を抱えて、なんとか自宅マンションまで戻ってきた。 だが、自分の部屋にも関わらず、私は自分の居場所すら見付けられない。 そしてその中、流れる時を追うように、 気持ちは、目にした事を幻にしようと現実から遠ざかろうとする。 しかしそれを取り消すように、友之からの連絡が 幾度となく、携帯電話を震わせる。 もう、振り子のように振り回される心が痛くて、 頭が、どうにかなりそうだった。 そして、とうとう私は、携帯電話の電源を落とした。 お蔭でほんの少し心の片隅が安らぎ、体から細く力が抜けていく。 そんなわずかな余裕が、私の目に、あの淡いオレンジの小箱を捉えさせた。 これ……。 私の震える手が、ゆっくりと小箱に伸びた。
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