114人が本棚に入れています
本棚に追加
混乱する思考のせいで感情がひどく鈍り、
思いっきり泣くこともできなかった。
お蔭で週明けの朝は、赤く目も腫れていない代わりに、
気持ちは、この曇天の陽気のように重く少し肌寒いままだ。
しかし、どうにか仕事モードに切り替えて午前をやり過ごした昼休み、
私の傍に駆け寄って来た後輩は、花盛り真っ只中のよう。
「夏海さん、夏海さん。近江くんと、また会ったって本当ですか?」
しかし、なんだかちょっと興奮気味に尋ねられたが、
私に、その名前の記憶がまったくない。
「近江くん?」
そしてぼんやり尋ねると、「ほらぁ」と
少しじれったそうに説明をしてくれる。
「この前の合コンで、夏海さんの前にいた彼ですよ」
最初のコメントを投稿しよう!