第3章  呼び込まれた再会

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混乱する思考のせいで感情がひどく鈍り、 思いっきり泣くこともできなかった。 お蔭で週明けの朝は、赤く目も腫れていない代わりに、 気持ちは、この曇天の陽気のように重く少し肌寒いままだ。 しかし、どうにか仕事モードに切り替えて午前をやり過ごした昼休み、 私の傍に駆け寄って来た後輩は、花盛り真っ只中のよう。 「夏海さん、夏海さん。近江(オウミ)くんと、また会ったって本当ですか?」 しかし、なんだかちょっと興奮気味に尋ねられたが、 私に、その名前の記憶がまったくない。 「近江くん?」 そしてぼんやり尋ねると、「ほらぁ」と 少しじれったそうに説明をしてくれる。 「この前の合コンで、夏海さんの前にいた彼ですよ」
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