第3章  呼び込まれた再会

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えっ……? 仕事モードで、どうにか平静を保っていた私の思考が、 再びモヤモヤした底なし沼に落ちかける。 だが、先輩のプライドが、なんとか落ちかけた自分を引き戻した。 「まぁ、会ったっていうか。偶然ね」 私は、半ば無理やり顔に苦笑を広げた。 しかし、どういう訳か後輩は、その答えにひどく興奮をし始める。 「ええぇ、すごいじゃないですか。 連絡先交換もしてないのに、偶然で会っちゃうなんて」 「そんな、お互い地の果てに住んでる訳じゃないんだし。 それに彼、スイーツ好きみたいだから、 青山のお店の前で会っても、何も不思議はないじゃない」 「そんな事ないですよ。 会わない人は、どんなに近くに居ても絶対に会わないじゃないですか」 まぁね――。
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