僕の願い

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僕は芥川龍之介。 訳あって武装探偵社に捕まってしまった。 なんという不覚……! 今は暗い部屋の中、椅子に縛られ腕を後ろ手に拘束されている。 僕の異能力は、太宰さんによって封じ込められてしまったようだ。 ガチャ… 「やあ、芥川くん。やっと目覚めたか。 君が途方もなく寝るものだから、私はくたびれてしまうところだったよ。」 やはり……。 来るとは思っていた。 なんせ、僕を捕らえたのは紛れもなくこの人…太宰さんだからだ。 「太宰さん。僕はたとえ貴方からの質問だとしても、答える気…」 「君の意見など聞いてない。 芥川くん、今の状況を分かっているのかい? 君はこれから拷問される。 そして私は、敵から聞き出せなかった情報などひとつもない。 君が今言おうとしていたことはできないんだ。 諦めたほうがいい。」 「……っ!」 「じゃあ早速聞くけど、 今回の作戦で指示を出してたのは芥川くんだよね?」 「ああそうだ。」 「でも、敦くんを狙う訳でもなく真っ先に私に向かってきたのは何故だい?」 「それは…人虎が目的ではなかったからだ。」 「それは質問の答えになってない。 どうして私を狙ったのか、と聞いたんだ。」 そんなこと…言える訳ない。 「ポートマフィア時代の腹癒せか?」 「違う!」 「ならどうして?」 ちっ。殺そうとする素振りを見せなかったのが悪かったか? 確かに、もし腹癒せなら僕は太宰さんを殺しにかかっていただろう。 だが、僕は太宰さんを捕まえようとしていた。 きっと太宰さんは僕のしようとしていたことを見透かしている…。 僕が話すのも時間の問題か? 「ふ~ん……。 君がどうしても言わないというならこうしよう。 私が芥川くんのしてほしいことをなんでもひとつだけ叶えてあげる。 その代わり、君は私を狙った理由を吐くんだ。」 「なんだと?」 「言った通りさ。」 そんなこと、答える訳には行かぬ。 「さあ、芥川くん。 君の願いはなんだい?」 「クっ…!」 完全に見透かされている。 でなければ、太宰さんが殴ってこないはずがない。
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