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決意をしてからすぐのある日、
悟が爽汰の席に走って来て、
今がチャンスだとこそっと言いに来た。
わざと一度席を離れ、
何がチャンスなのかと遠くから見てみると、
珍しく理沙子が休み時間に一人で席に座って何かを読んでいたのだ。
普段は友達に囲まれ、
なかなか話しかけるチャンスがなかった爽汰にとっては、
願ってもない状況だ。
すごすごとまた席に戻り、
一度大きく深呼吸をした。
そして、
安いおもちゃのロボットのようなぎこちない動きではあったが、
なんとか後ろを振り返り、
爽汰は理沙子に声をかけた。
「な……、
何読んでるの? 石崎さん」
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