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「爽汰? おい、
爽汰。
おまえ、
大丈夫か?」
窓から見える、
まるで平面であるかのように真っ青な空に顔を向けたまま、
爽汰は固まっている。
悟が何度か呼びかけてやっと、
抜けていた魂が帰って来たような顔をして爽汰は振り向いた。
そして、
おもむろに叫ぶ。
「今何時!?」
呆れた顔で一度ため息を投げかけてから、
悟は腕時計を見た。
「二時半過ぎだけど」
爽汰はそれを聞き、
ああと呻いて頭を抱えた。
見ていた悟も堪らずに肩を叩いてなだめる。
「まあ、
緊張するわな。
一ヶ月も前から準備してた初めてのデートで、
相手は理沙子ちゃん。
おまえが俺でもきっとそうなると思う」
そう言って、
悟は目をつむり、
うんうんと頷きながら同情してみせた。
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