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 石崎理沙子。  爽汰と悟と同じクラスの女子の名だ。  黒くまっすぐな艶のある髪を肩まで伸ばし、 斜めに分けた前髪から覗く、 大きくビー玉のような瞳。  鼻と口元は派手すぎない品のいい作りで、 顎から耳の下へと彫刻のように美しいカーブで輪郭を結んでいる。  一見、 美人特有の冷たい印象を受けるが、 その丸い目を三日月のようにして笑うと、 彼女の優しく明るい人柄をすぐに証明してくれる。  そんな理沙子に二人が会ったのは、 数ヶ月前の入学式の日だ。  式を終え、 初めて入った教室は、 五十音順で席が決められていた。
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