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店長はワイシャツの袖で目に浮かんだ涙を拭うと、平手打ちを下右手の平を摩りながら言葉を続けた。
「彼女は君達の虐めに耐えながら生きていた。けど、それを限界と感じた。希望も勇気も見出せずに。それは、君達の我侭から始まった事だ。人は道具じゃない!命ある生き物!命ある限り、生きる価値があるんだ!そして、君達が見た災いは、君達の日頃の行いを正せば災いは起こらないという道しるべ。君達の我侭を治せば良いだけ・・・。それなのに、まだ自分達の我侭、虐めをやめないつもりなのか!彼女は君達のストレス発散の為に生きているんじゃない!ストレス発散なら、人間を虐めるような発散の仕方じゃなく、もっと自分達の糧になる場で発散しろ!」
「痛い・・・。親にも殴られた事が無いのに・・・」
「そうだよ!女に手を上げる男って最低!」とまだメガネを掛けていない女の子が叫ぶ。
「だったら・・・。アタシがメモを残さずに死ねばいいんだよね・・・。そうすれば、由美達に迷惑は掛からないから・・・」と沙希が暗い表情で言う。
「君が命を絶つ事は無い!いや・・・、絶対に死んではいけない。君達、ウチはボロ屋の店だけど、設備は一応、一級品だよ。特に・・・」と店長が指を指した。その先には防犯カメラが店内の様子を映している。
「あの防犯カメラは一応、音声も録音できるタイプでね・・・。あぁ、さっき平手打ちしたことを暴力行為で警察に訴えてもいいよ。僕は間違った事はしていないつもりだし、何より、僕は大人として君達の人の命を軽視している態度は間違っていることに対して叩いたと説明する。それと、君達が彼女に対して虐めをしていたことも、間違いなく録音されている。これを警察と君達の学校に持っていけばどうなるか?それぐらい・・・、わかるよね?」と店長は三人の顔を覗きながら言った。
「何・・・、脅し?黙っていろって言いたいの?」と由美が叩かれた頬を摩りながら、口を尖らせて言う。
「いや、違う・・・。てか、まだわかっていないようだね・・・」と店長が呆れた表情を作って見せた。
「分かってるよ・・・。もう、コイツは虐めない。それでいいんだろ!」と由美が返す。
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