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元男子更衣室で、いきなりトランプ大会が始まった。
種目はブラックジャック。折りたたみ椅子をテーブル代わりにして、ラテン系黒人がカードを配る。
ブロンド女優が「私にもシャッフルさせろ」と文句を言ったらしく、カードを奪ってデタラメに混ぜた。
再度、カードが配られ、三人がそっと手札を覗きこむ。
オレの角度からは、ブロンド女優の手の内が丸見えだった。配られたカードは、スペードのジャックとハートの四。
どう考えたって、勝てる手ではない。バスト覚悟でもう一枚引くのがセオリーだ。でも、ブロンド女優は「スタンド」とコールした。
これでガディンの外出はなくなった。あんなデカいのがついてこなくて、よかったよ。と、思った矢先、ブロンド女優が後ろ髪をかきあげた。そして手をカードに戻すと、いつの間にかダイヤのエースが手元にあった。
おいおい、こいつイカサマしてやがるぞ!
三人が手札を見せ合い、まんまとブロンド女優が勝利した。
イカサマをばらしてやろうと思ったが、くるりと振り向いたブロンド女優が、オレに向かってウインクした。
まあ、同行するなら、うるさいオッサンよりも、無口なジイさんよりもマシかな、なんて納得したりして。
「私たちは忙しいから、あんたたち二人で行ってきなさいよ」
葵さんは面倒くさそうに事務室に戻って行った。ええ? オレ、英語しゃべれないんですけど・・・。
すぐさま、アイフォンで音声翻訳アプリを検索する。
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