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目的地はまだ先、と言ってもたかだか五分ほどしかかからなかった。
高田駅からほど近い、上越大通りを一本横に入ったガレージのような建物。『ギャラクティカ・タカダ』という看板が掲げられていた。
正面に下ろされたシャッターには、無数のポスターが貼られている。その内容は、『LIVE』や『対バン』などの表記が並び、ヒップホップスタイルに身を包んだ集団や、ギター一本抱えたTシャツ姿の男の写真が飾られていた。
どうやら、ここはライブハウスらしい。何だか、血が騒ぐ感じ。バンドを組んでた頃の、懐かしい思い出が脳裏をよぎる。
オレたちは、目立たないよう、裏口に車を止めて行くことにした。
「おい、面倒だから、その女は置いていけ」
高柳さんに言われて、「二人だけで行ってくるよ」と翻訳アプリを通して言うと、ブロンド女優はまたゲラゲラと笑っている。そしてこう言い返してきた。
「今夜ハ、三人デ楽シミマショウ」
「何言ってんだ、こいつ?」
高柳さんが眉間にシワを寄せるので、翻訳アプリのせいだとなだめる。
さすがに、ゾウの王様はトレーラーの中で待っててもらうことにして、邪魔をしないことを条件に彼女も一緒に行くことを了承してもらった。
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