354人が本棚に入れています
本棚に追加
/540ページ
メインプールへと続く、重い扉。
オレは、一年前、ここでラバナスの世界へ初めて足を踏み入れた。懐かしくも忌まわしい記憶がよみがえる。
何の因果か知らないが、またここに戻ってきてしまった。
隙間から漏れ聞こえる歓声。
さあ、行こう。オレは始まりの場所で、全てを終わらせに来たんだ。
扉を開けると、場内の熱気が襲ってきた。
プールサイドには、大勢のブリーダーたちがひしめき合っている。
大小さまざまなケージを囲んで、ラバナスにエサを与える者や、他のブリーダーと交流を楽しんでいる者、試合を熱心に見つめている者たちがいた。
二階席も観客で埋まっている。贔屓のラバナスを応援するプラカードや横断幕があちこちで掲げられ、声援と野次が飛び交っていた。席からあぶれた人たちは通路の階段に腰かけ、窓に背中を預けて立ち見をする人もいる。
ブリーダーも観客も、一年前より明らかに多い。すし詰め状態の会場は、異常なほど高揚した雰囲気が充満していた。
この悪趣味な連中を見て、一年前のオレは吐きそうになったもんだ。ところがどうだい、今じゃ立派な仲間のひとりに成り下がっているじゃないか。頭がおかしくなっちまうぜ、まったく。
最初のコメントを投稿しよう!