第35話 最強

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「そろそろ出て来てよ、ほら」 シュルトの声に反応して、一・五メートル四方のケージが揺れる。内側からの圧力で、ケージを巻いていた鉄の鎖が千切れた。 ケージの留め金がはじけ飛び、四方の鉄格子がパタパタと倒れる。 あらわになったのは、灰色の四角い物体。 何だ、ありゃ。 立方体ではあるが、所々に産毛のようなものが生え、深く刻まれたシワも見える。生き物のようだ。生き物が、無理やり正六面体に押し込められているのだ。 上の方から、ホースらしきものが現われた。ヘビのようにクネクネと曲がり、あたりを伺っている。 「あれは、鼻じゃないか? ゾウの鼻だ! ってことは、あれはガディンなのか!」 三メートルを超える巨躯は、自らの身体を折り曲げ、骨を砕いてまで、たった一・五メートル四方のケージの中に潜んでいたのだ。 でも、そんな身体じゃ、身動きひとつできないじゃないか。あんな肉の四角い塊が、何の役に立つって言うんだ? いや、ある。あのボロボロの身体を、元に戻す方法が。 「ほら、行け、エルガー・ラッテ」
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