第35話 最強

17/45
前へ
/540ページ
次へ
一部の歓声は、隣に伝染し、次第に大きなウェーブとなって会場中に広がった。 やがて、ラバナススターのサプライズ登場に、歓喜の渦が巻き起こった。 馬鹿野郎どもが。これを演出かなにかと勘違いしてやがる。おまえらが拍手を送っているのは、人類滅亡の使者なんだぞ。 ガディンの登場に、ついさっき試合を終えたばかりの浦瀬牧場が戦闘態勢をとった。 プールの縁までケージを運び、「アンリーシュ!」の掛け声とともに虹色ヒョウを送り出した。 美しい飾り羽を広げて、ヒョウが飛び掛かる。赤城山での雪辱を果たすつもりか。 極彩色の獣を目の端にとらえたゾウの王様は、ケージに巻き付けてあった鎖を握り、振り回した。 オレの頭上を、鉄鎖が飛ぶ。風切り音が今までよりも明らかに甲高い。ネズミドーピングでパワーが増した分、回転スピードも速くなっているのだ。 一刀両断。鉄鎖の早すぎるスピードは、虹色ヒョウの肉にめり込み、骨までも砕いた。 浦瀬牧場渾身のラバナスは、ガディンに触れることも叶わないまま、空中で身体を真っ二つにされて死んだ。 血と肉片が雨となって、オレに降り注ぐ。圧倒的な強さを見せつけられて、会場は歓声で揺れた。 「修治さん、これからいいところなんだから、邪魔しないでよ。やっちゃぇ、ガディン」
/540ページ

最初のコメントを投稿しよう!

355人が本棚に入れています
本棚に追加