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一部の歓声は、隣に伝染し、次第に大きなウェーブとなって会場中に広がった。
やがて、ラバナススターのサプライズ登場に、歓喜の渦が巻き起こった。
馬鹿野郎どもが。これを演出かなにかと勘違いしてやがる。おまえらが拍手を送っているのは、人類滅亡の使者なんだぞ。
ガディンの登場に、ついさっき試合を終えたばかりの浦瀬牧場が戦闘態勢をとった。
プールの縁までケージを運び、「アンリーシュ!」の掛け声とともに虹色ヒョウを送り出した。
美しい飾り羽を広げて、ヒョウが飛び掛かる。赤城山での雪辱を果たすつもりか。
極彩色の獣を目の端にとらえたゾウの王様は、ケージに巻き付けてあった鎖を握り、振り回した。
オレの頭上を、鉄鎖が飛ぶ。風切り音が今までよりも明らかに甲高い。ネズミドーピングでパワーが増した分、回転スピードも速くなっているのだ。
一刀両断。鉄鎖の早すぎるスピードは、虹色ヒョウの肉にめり込み、骨までも砕いた。
浦瀬牧場渾身のラバナスは、ガディンに触れることも叶わないまま、空中で身体を真っ二つにされて死んだ。
血と肉片が雨となって、オレに降り注ぐ。圧倒的な強さを見せつけられて、会場は歓声で揺れた。
「修治さん、これからいいところなんだから、邪魔しないでよ。やっちゃぇ、ガディン」
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