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「伯父の会社は今が繁忙期だから、この時期にここに来る人って、
ほとんどないんですよ。だから、超ぉ~穴場」
確かに、直に花火開始の時間にも関わらず、屋上には私たちの姿しかなく
しかも、ご丁寧に二人掛けのベンチが、いくつかちゃんと用意されている。
そして、
「じゃ、ごゆっくりどうぞ。俺らは、あっちで見るから」
こちらに小さく手を上げると、響くんは安奈ちゃんの手を取り
一番端のベンチへと歩いて行く。
私は、そんな幸せそうな後ろ姿を、ちょっとぼんやり眺めていた。
「座りましょうか」
この日、初めて冠くんから掛けられた言葉に、私も彼を振り返った。
「うん」
それだけの言葉を交わし、私たちは手を繋ぐでもなく
反対端のベンチに並んだ。
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