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しかも、それから車の後部座席で並んでいる間、
ずっと冠くんは視線を俯けたまま。
途中、ファミレスで食事をする間も、目的地に着くまでの道のりも、
会話は、ほとんど響くんが引っ張り、
冠くんは、振られた話に訥々と答えるだけだった。
こうして着いた場所は、かつては別荘も多かったという葉山。
そして案内されたのは、ちょっと見、旅館のような場所。
「ここ、俺の伯父のやってる会社の保養所なんですよ」
へえ……。響くんって、もしかしてお坊ちゃん?
チラッと、そんな事が頭を掠める。
しかも、従業員の人たちとも顔なじみらしく、
彼は気安く挨拶をすると、勝手知ったように屋上へと案内してくれた。
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